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ヨハネ=パウロ2世の説教

 ヨハネ=パウロ2世を文字通り目の前で見たことがある。2003年の年末、友人を訪ねてローマを訪れた。年の瀬12月31日、ヴァチカンのサンピエトロ寺院で法王のミサがあり、それを聞きにいったのだ。僕はキリスト教徒ではないが、そのミサは誰でも入れた。ヴァチカンにはこのように一般の人が目の前で説教を聞けるミサが年4回ある。すなわち、ローマの記念日、復活祭、クリスマス、そして年末31日である。
 どういう訳か奇跡的な運の巡り会わせで、最も中央の席に座ることが出来た(法王は寺院の正面入り口から入って寺院の中央を通って説教台に向かうので、最も間近で法王を見ることが出来る)。席に着いて3時間後、ミサが始まった。法王が寺院に入った瞬間、聖堂は割れんばかりの拍手でつつまれ、「パパ(法王の愛称)!」の叫び声が堂内に響いた。世界各国からキリスト教徒が集まり、最も場違いな僕もその中で法王の説教を聴いた。側近に支えられて説教台に上った法王は、見るからに体は弱っていたが、声には不思議な力があった。この人物が欧州の精神的指導者か。アメリカのガキ大将に世界で唯一説教の出来る人物か、等々。勿論何を言っているかわ分からなかったが、声がきけただけで幸せだった(あとでテレビニュースで流れた映像を友人に訳してもらったところ、「イエスが生まれた地で殺し合いが起こっている(イスラエルとパレスチナ)のは何と悲しむべきことか」と言ってたらしい)。
 法王は現代に残った数少ない古きヨーロッパである。
 ヴァチカンの文化、宗教、風俗、習慣は、古い建物や遺跡が多く残り、他の欧州各国と比べて何となく古臭いイタリアの中にあっても、一層古いものに見える。その象徴の一つが、未だにヴァチカンの衛兵はスイス人傭兵であることだ(非機能的で恐ろしく派手な服を着て槍を持って寺院の入り口を固めている。さすがに最近は志願者が減っているらしい)。時代がこれだけ進んでも、キリスト教の総本山として、また欧州社会の精神的な支柱として法王は世界に君臨する。ソ連大統領ゴルバチョフが奥さんのライサにヨハネ=パウロ2世を紹介する際、「この方が世界至上の道徳の権威だ」と奥さんに言ったのは有名な話だ。これは法王の人柄と「空飛ぶ聖座」と言われたその行動に対する敬意もあっただろうが、2000年前から続く法王という存在そのものへの敬意もあっただろう。

 ヨハネ=パウロ2世を間近に見た時、僕は欧州に綿々と続く歴史に触れたような気がして身震いがした。決してオ-バーな話ではない。僕は無宗教の人間であるけれども、宗教と歴史の持つ文字通り神懸かり的な「何か」(としか表現のしようが無い)に圧倒されたのである。

 言葉でそれを表現しようと思ったのだが、難しかったな。
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プロフィール

Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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