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都電の走る街に住む

 早稲田を出た電車は面影橋を過ぎて神田川を渡り、学習院下から坂を一気に駆け上がる。登り切ったところが鬼子母神前だ。

 今回縁有って東京へ移り住むことになった。日本は東京とそれ以外で出来ている、とある意味言えるほど、東京は桁違いに大きい。日本第二の都市と言われている大阪の中心部で働いているけれども、東京の大きさとは比べものにならない。知り合いに尋ねてみると、大抵中央線や小田急、京王、東急、西武など、山手線の外に住んでいる人が殆どだ。色々と住みやすいらしいのだが、どうもしっくり来ない。元々東京への憧れなど無いけれど、せっかく住むのならば東京らしいところに住んでみたいと思う。ここで言う東京とは、所謂郊外の市街地ではなく、勿論渋谷や新宿などの繁華街でもなく、山手線の中にある昔からの「東京」の雰囲気を残した場所ということだ。住んだことが無いので想像するしか無いのだけれど、多分それは都会ではあるけれど落ち着いた雰囲気を併せ持つ場所のことだろう。ギスギスしたビルの谷間だけが東京では無い筈で、「三丁目の夕日」とまではいかなくても緑を残した昔ながらの住宅街というところがある筈だ。

 東京は「八百八町」と言うが、それと同時に「坂」が付く地名が異常に多いことに気付く。それは案外平地に街が発展しているのではなく、丘と谷で出来ている街なのかもしれない。

 朝7時過ぎに東京駅に着いたのはいいが、目を付けていた仲介会社が10時からなのでそれまでは時間をつぶさなくてはいけない。ひとしきり思案した後、10何年振りかに都電に乗ってみることにした。「東京」としてイメージしていた街は文京区から豊島区にかけてだったので、王子から乗れば都合がいい。早速京浜線で王子に向かい、都電の客となった。
 都電荒川線は唯一残った都電であるが、そのうち王子駅前と早稲田を結ぶ区間は都電32系統として運行されていた区間で、見事に山手線北部沿線の住宅街を突っ切って走る。大塚駅前から東池袋を通って雑司が谷、鬼子母神前、学習院下と進む区間が特にいい。漱石の小説にも出てくる「雑司が谷墓地」から早稲田にかけての区間は賑やかなところでは無いけれど、自分の想像する東京がそこに有った。この辺りにしてみようか。

 とは言うものの家賃との兼ね合いもあるので、実際は豊島区から文京区一帯、それも山手線の外にも広げて相談してみたが、自分の為に用意されていたかのように鬼子母神前の電停から3分程のところに丁度いい物件があり、そこに決めた。明治通りに面しているものの、辺りは落ち着いた雰囲気で、部屋は通りの反対側で車もうるさくなく、しかも10階なので抜群に眺めがいい。眼下には都の西北の住宅街とその向こうに池袋の高層ビル群が遮るもの無く望める。「鬼子母神前」は即ち地下鉄副都心線の雑司が谷駅であるので、仕事場の新宿へもとても便利だ。一生に一度くらいはこのような「古い」東京に住んでみてもいいだろう。

 京都、大阪、神戸と関西での生活を送ってきたが、この辺りで東京生活に身を浸してみることにしよう。
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プロフィール

Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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