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遊就館

 とにかく、太平洋戦争に於いて日本が敗北したのは事実なのですが、そのことをそもそも認めることが出来ない人が多いようです。今、小林某や田母神某を中心とする「愛国派」が盛んに支那事変~太平洋戦争について、非侵略戦争論を声高に語られております。まあこの手の話は勿論今に始まったことでは無いのですが、朝鮮脅威論と結びつけて自論を全て正しいとする風潮には首をかしげだくなります。「自存自衛」と語れば、他国に軍を進めることが出来るのかと言えば本来はそうでは無い筈なのですが、蘭印の石油を中心とする資源の確保とそれに伴う日本との通商路の確保=アジア全域を勢力下に置こうとした事実は、共に語られた大東亜共栄圏という言葉でそもそも日本を盟主に他国と結びつきを強める=欧米勢力の駆逐が、あくまで日本の為だけに必要とされた理屈だということを証明することに他なりません。これが上手いこと外交がいっている時代ならば、何も軍事力に頼らなくてもいい訳ですけれど、ハルノートに代表されるような対日強硬派に包囲されていた時分であれば、米、英、仏、蘭の列強に支配されていた資源地域の確保に軍事力を以て行うことは(列強の要求をのむという当時としては困難な状況に於いては)、必然でありました。
 ただ、この資源確保の為の軍事進出に「欧米列強からの東亜の解放」という大義名分をつけてしまう(何かを行う時には名分が必要なものです)ことで、今もって戦争そのものを肯定したがる人々を勢いづけます。「自衛の為の戦争」が「大東亜共栄圏」に、理屈があまり上手くない程度に巧妙にすり替えられている。「自衛の為」と言えば日本のことしか考えていないのですが、「東亜」と言えば他国の為でもあるからです。
 もう一度言いますが、下の兵隊個人レベルではまだしも、上の指導部は東亜の共栄など考えておりませんし、41年12月以降は日本が勝つ=日本の自存自衛の為「だけ」に戦争を行っています。で、「自衛の為」でありますから、端目から侵略と思われても、当事者には「侵略」という意図が無いのも(まあ何処まで自己を正当化しようとしていたかは別として)、うなずけます。そこを以て現代の「愛国派」の方々は「自衛の為の戦争だった」と言う訳ですから、彼らが侵略戦争と認識しないのも当然です。けれど、科学の立場からみればあくまで両方の考えを吟味し客観的に結論を導かなくてはいけませんので、畢竟小林某や田母神某は一方からしか物事が見えていない。こんな訳で私は「愛国派」の方々が言う「自虐史観」に全面的に同意する訳ではありませんが、「自由主義史観」には絶対に組みする者でもありません。

 さて、どうしてこんな事を書いているのかと言いますと、今日靖国神社の付属施設「遊就館」に行ってきたからです。靖国神社については前にも書いたので繰り返しませんけれど、遊就館とはその立場をもとに「大東亜戦争」について延々と説明している「資料館」です。如何に日本の為に多くの人が崇高な心で身を捧げたか、について展示案内がされていました。私もその精神自体を全否定することはしませんけれど、今一つ心に響いてこないのは、どんなに戦争が悲惨なものかというのがこれっぽっちも案内されていないからです。戦争資料館ではないということでしょうか。戊辰戦役~日清戦争くらいまではまがりなりにも何が起こってどうのというような客観的な表現があるのですが、日露戦争あたりからおかしくなってきました。乃木将軍のステッセルに対する態度が武士道に沿ったものだったなどと案内されてから、どうも精神論についての展示が多くなったような気がします。
 もっともその立場上、博物館に求められる客観性など期待していなかったのですが、特攻隊のあたりから「自衛の為の戦争」も何処かにいってしまって「殉国忠勇」を叫ぶだけの展示になってしまいました。ここには絶対に上原良司の遺書など展示案内されることなど無いでしょう。
 特攻隊だって、本来ならそれを引き起こした無謀さとその悲劇について語られなくてはいけないと思うのですが、「忠義」の面からしか説明がないので全く心に響きません。知覧の特攻記念館の方が見るべきものがあったように思います。
 国の為に死ぬとか死んだ、とかいうのはそもそも大した思想だとは思えません。戦死した人もそうでない人も、個人の本音の部分では、国とか天皇とかでは無く、別の思いがあったと思うのですがね。
 ましてや侵略戦争では死んだ者が浮かばれない、という情の話をしていては、人情としては理解できますけれど、太平洋戦争とは何であったかということに対して永久に答えを導くことは出来ないと思います。
 違いますでしょうか?

 遊就館ですが、訪れている人の多くが若い女性であったのが印象的でした。もっと年配の人が多いのかと思っていましたが、新宿や池袋あたりにいそうな女性が結構来ていました。カップルでも真剣に見ていたのは女性の方でしたから。

 今日の九段は恐ろしく暑かった。今年も8月がやってきますね。15日の靖国神社がどのようなものか見に行きたいとも思っていたのですが、結局年中行事の五山の送り火を見に京都へ向かうことになりました。

(※文中敬称略)
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プロフィール

Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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