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指摘いただいたマルクスの武力革命論について

 マルクス主義について書いた昨年9月のブログについて、一部から「誤った認識では?」との声をいただいたので、ここでその根拠を改めて示したい。

 まずこの書物が書かれたのは19世紀半ばのヨーロッパ、丁度7月王政と二月革命前後という時期であったことを理解しなくてはいけない。その時代のヨーロッパで社会変革を実現する理屈として武力を用いることは極めて当然だったということだ。 
 その19世紀の常識を20世紀の常識に当てはめて考えるのは正しくない。歴史の分析に基づく思想と現状打破の手段(共産党宣言では勿論19世紀中葉が「現状」となる)は、後世に生かされるべきものとそうでないものが存在するのは明らかだ。どの歴史書も思想書もそうだけど、その時代背景を念頭に置いて理解に努めなければ、内容によっては現実(つまり読者の時代)に合わないものとなってしまう。現代に生かされるべき方法、分析を得ようとせず、内容全体を今の時代にあわせようとするからおかしくなる。
 ここで言えば、武装革命論は政治体制を変革する手段として当時の思想では「極めて当然だった」という認識が必要である。何もマルキシズムだけの話ではなく、王党派、帝政派にとっても同様のこと。資本主義者は政治変革を必ずしも求めるものではなく、その時代の情勢に適応しながら経済変革を求めただけである。社会主義、共産主義が経済、社会にとどまらず政治体制の変革を求めたのに対し、資本主義があくまで現状の体制において最大限の経済変革を求めるだけのことであり、理屈の上では政治体制の変革は起こりにくい考え方なのだ。当然計画経済とは真っ向から対立するので、社会主義、共産主義の政治的スタンス(資本主義打倒の階級闘争論を勿論含む)を持ち出してくるから、その負の部分を危険視するのだ。

 マルクスは歴史家であった。だから、歴史の分析を詳細に行い、現状変革の手段として当時としては当然の考え方(「暴力手段によってのみ社会変革は可能である」とい考え方)を持ち出しただけのこと。これが20世紀後半に書かれる書物であれば、その歴史分析と現状認識から共産主義社会樹立の為に別の手段を主張したことも考えられる。
20世紀前半のレーニンの時代、この時には既に社会・体制変革を武力以外の手段によって成し遂げる方法も現れつつあった。にも関わらず19世紀の体制変革論を現実の社会改革の手段として主張したのがレーニンであり、毛沢東である。よって、昨年の話として「マルクスが必ずしも武力革命を志向したものではない」と記述したのは、その時代を分析する素地を持っていたと理解されるからであり、生きる時代によってその知識と教養が産み出す手段は変わることが十分に想定されるだけの思想家だったと思うからであり、その理論はあくまで19世紀中葉のヨーロッパの常識を持ち出しただけだと考えられるからである。

 私はあくまでマルクス主義について記述したつもりだったが、共産主義の現実として考えるならば、その思想は後世のレーニン、毛沢東の活動と合わせて考えられる事は当然否定しない。ただ時代変革の手段としてマルクスが武力論を唱えたというのなら、日本人に人気の坂本龍馬や明治維新を起こした人々も、その部分に於いては同じ類の人物であると主張されてしかるべきだ。それなのに彼らを危険思想の持ち主と捉えないのはどういうことだ?幕府という専制的旧体制を破壊したから偉人となるのか?その為の手段として彼らが考えるやり方は、どのようなものでも肯定されるのか?
 誤解されては困るが、私は坂本や高杉、岩倉、西郷、大久保らの業績を否定する意図は全く無い。ただその用いた手段はマルクスの「武力革命論」と何ら変わらないということを指摘したい。当然である。マルクスの考え方も西郷らが用いたそのやり方も、当時の社会を変えるやり方として極めて常識的な考え方であったからだ。
 徳川幕府の弱体化から明治政府の樹立に至る過程は、どう考えても武力革命ではないか。薩長の考えた倒幕の手段と思想は天皇をかついで武力で江戸を落とし、武家中心の社会から天皇を中心とする国家を樹立することだ。これを否定する意見を余り聞かないのは何故か?

 共産主義思想や「社会とはこうあるべきだ」という主張と、マルクスが書いた手段としての武力革命論を同じまな板で判断するな。

 20世紀の共産主義(=「危険な思想?」)とマルクスの言う手段としての「武力革命論」は同一のものでは無いと改めて申し上げておく。
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プロフィール

Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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