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見世物小屋

 歌舞伎町の花園神社で酉の市。二の酉ということで今年最後の縁日で、それはそれは多くの人達で賑わっていた。熊手屋がそこかしこに出て人を集め、買った人々に拍子木で拍子を打っているところを見てるとそれだけで年代物に会った気分で楽しくなる。仕事を中座してきたので、縁日の出店で酔うことは出来ない。別に縁起物を購入する訳でもない。では何をしに来たのかというと、縁日の出し物として出店している見世物小屋を見に来たのだ。
 
 明治通り側の入り口を入ってすぐ左手に目指す小屋は出ていた。一見して分かるその妖しさは、それだけでタイムスリップである。デカデカと飾られた看板の絵は、蛇女とか奇形の子供の絵とか、まあ普通の生活をしている分には出会うことのない類。呼び込みの男性が口上を連ねていて、結構な人だかりが出来ている。出し物の中心は蛇であるようで、男性の目の前には蛇が入れられた箱があり、口上の途中で蛇を取り出して観客に触らせていた。入場料は大人から幼児まで値段が出ているが、現代の基準でいくと凡そ「青少年には有害」と烙印を押されること間違いなしの絵に囲まれていて、子供相手にも商売しているのだから面白い。丁度周辺の会社は退勤の時間のようで男性会社員は勿論のこと、若い女性OLとかも一人で小屋の中に入っていったりしている。勿論私も小屋に入る。
 
 早速見た出し物が、蛇を頭から食べる女性の芸。見世物業界期待の後継者とかいう若い女性だったが、業界といったところで平成の今ではこの小屋しか営業していないのだから、業界も何もあったものじゃない。次いで垂れてくる蝋燭を口に含んで火を噴く老女。この道40年(60年だったかな)とかでとても気合が入っている。そのあとはガラスを通りぬける蛇とか、頭が二つある牛のミイラとか最後は文字通りの大蛇が出てきて触らせるとか、確かに現代ではあり得ない見世物を出していた。

 とにかく雰囲気がレトロ。テレビとかでやるマジックとかアクションに慣れてしまっていると物足りないが、このような縁日の出し物として歴史があることを考えれば、そのレトロな雰囲気で多少のレベルダウンに目をつぶっても十分に見る価値はある。大正だか昭和の初めだかにはこのような小屋が300軒ほどあったらしいが、次々に廃業してしまって残るはこの小屋のみ。

 元々の見世物小屋とは蛇を食べるとかのレベルではなく、今日の観点から見れば「人権侵害」と思われることを当然のごとくやっていたようだ。分かりやすい例では身体障害者(ハンディキャッパー)が「親の因果が子に乗り移り...」とかの口上で見世物にされていたりしたのだが、現代ではさすがに環境が許さないに決まっているので、代わりに蛇が食べられていたりする。昔のこの辺りの状況は江戸川乱歩の話によく出てきていて、「一寸法師」などその最たるものだ。このようなのを全国の縁日を巡業して大人にも子供にも見せていたのが形を変えて今に残っている。子供の頃、ポプラ社の少年探偵団シリーズで侏儒がよく出ていたのだけれど、最近の少年探偵団ではこの手の話を見ない。説明では「作者代筆によるもののため割愛しました」とか言ってるけど、本当の理由は別にあるんじゃないか?

 勿論人権問題とかに立てつくつもりは無いのだが、日本全体があらゆる意味で無菌状態になっている部分があるのも事実だと思う。今の基準でいけば幼稚園児とか小学校低学年とかに蛇を食べる女性を見せて教育上良い訳ないのだが、入場の年齢制限が無いところを見ると昔はこのようなものをみんなで見るのが当たり前だったのだろうと思う。このようなものを通じて身に付く社会もあった筈だ。でなければ、子供向けの本として「一寸法師」が出る訳がないだろう。

 どちらがいい悪いではない。

 時代がかった小屋でレトロな雰囲気で子供だましのような芸もあったにせよ、全体的には楽しめた。「面白くなければ御代は結構」とかの口上だったけれど、見終わったあとにしっかり入場料800円を払って出てきた。
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プロフィール

Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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