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フランスの論争

 「科学」という単語を私なりに解釈しますと、平た~く言うとなれば
「神仏を頂点とする超自然的な力を排し、理性と客観的合理的判断力を以って物事を思考すること」
となります。

 今朝の朝刊記事によると、フランスで「歴史記憶法」という一連の法律を巡って大論争が起きているそうでございます。かいつまんで話しますと、「ナチス=ドイツによるユダヤ人虐殺に疑問を持つのを禁じます」という法律に代表されるように、国家が歴史の解釈について強制力を持つことを規定した一連の法律群があり、それら法律群への賛成派は「法律は過去の過ちを記憶に留め後世への教訓とするもの」と主張し、反対派は「政治が歴史の解釈に口を出すのは危険である」と主張して真っ向からぶつかりあっているとのことです。
 フランスという国は欧州に於けるナチス批判の急先鋒であります。ナチスだけではありません。トルコのアルメニア人虐殺について批判し、擁護する人達を罰する法律を討論しております。当然トルコからは非難される訳で、これが原因でトルコはEUに加入出来ないとも言われております。要は自国他国に関わらず、歴史上の出来事について国家として意見と倫理観を統一することを好む国なのです。
 この国、他国と比べて変わっているのは、大衆の力が余りにも強いところ。政府や議会が決めたことも、大衆デモやストライキで簡単にひっくり返ります。政府の力(国家権力)も大衆の力に及ばない。これはフランス革命以後幾多の政府、王政が革命によって引きづり倒されてきたという伝統が示しておりますが、言葉を違えて言うと大衆の議論や意見が時の偽政者の判断を超えるということです。
 歴史記憶法に話を戻しますが、多少なりとも歴史を専攻した者から言わせてもらうと、国家が歴史の判断を規定するというのは非常に危険です。元来解釈と言うものは様々な意見のぶつかりあいがあり、合理的判断が働いて産まれてくるもの。ある特定の意見を封じて出された解釈は、強制であります。たとえそれがナチスのホロコーストでもです。それだけナチスの蛮行が国家の中に焼きついているということでしょうが、如何なる理由であれ、歴史の議論の中では対立する解釈を殺しては論争になりません。
 フランスは大衆が力を持つ国だと記しましたが、大衆は多種多様な意見を持っております。国家意思が大衆意見につぶされるということは、良く言えば国家が大衆の力=多種多様な意見を尊重するという証拠です。
 かつてフランス人は、三人集まれば議論が始まると揶揄されましたが、歴史を題材とした議論を封じるのは、合理主義を旨とし、科学を信じ、個人の意思を信じ、デカルトを生んだ国のすることではありません。

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Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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