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九段の暑い夏

 九段下の駅を上がると騒然としていた。
 そこら中で大声を張り上げている。内容はお決まりのような中国の「暴挙」についてばかり。尖閣問題とか台湾問題とかウイグルとか法輪功とか。およそ8月15日とは関係無い内容ばかりだが、その雰囲気が道行く人の足を止めさせている。私は構わず九段坂を上がっていった。
 とにかく蒸し暑い。九段界隈はこの夏の暑さがやたらに似合うような気もする。靖国神社へ向かう人の波は、今迄見たこの神社の参拝客の比ではない。中共を糾弾するアジ演説が暑さを更に駆り立てる。繰り返すが中共と太平洋戦争は深くは関係無いだろうに。外国人参政権反対などという声も上がっているが、要は反共と排外主義と太平洋戦争とは同列の主張というものなのか、ここで叫んでいる人達にとっては。

 お手水では帝国海軍の白い士官服に身を包んだ元軍人らしき老人達が談笑していた。参拝の大行列が門のところまで続いていたが、私は参拝をしに来た訳ではないので脇の入り口から入っていった。勿論戦争世代の人達もいるが、それ以上に目立つのは私と同じかそれより下と見られる人達。こういう人に限って仰々しく頭を下げて参拝をしている。人の主義にケチを付ける気は更々無いのだが、見立て格好が秋葉原の電気屋にたむろしている集団と同じように見えるのだ。ネット世界の所謂「ネトウヨ」とはこういう人達なのかしらん?とも思ってしまう。そこにある主張は、主義と言うよりも自己を体現する為の声じゃないか?ここで頭を下げている私と同じ世代、全てがそうだとは言わないが、自分を自分として認めてもらう為だけの行動。いわば競馬場でやたら声を上げている人々と、どうしても同類にしか見えない。

 丁度石原都知事が参拝をして出てくるところに出くわした。日の丸が振られるのはまあいいとして、少しばかり慎太郎コールが響く。ディープインパクトに声を上げているのと全く同じだ。共感も何もない。

 正殿から続く人の多さを横目に、気が狂いそうになる位の暑さの下、もう充分ですという気で門を出た。出たところで、兵隊の格好をした人達が一列に並んでいた。で、何をするのかといえばおもむろに「天皇陛下万歳」を叫び出した。周囲の参拝客からも併せて万歳三唱の声が上がった。この兵隊の格好をした集団の方が、まだ主張を持っていそうで多少納得はしたけれど、先頭の老人を見た時は何となく哀しくなった。戦争に実際に行った人か、それともギリギリ出征手前の世代か?少なくとも戦前の教育を受けているのは間違い無さそうだ。

 老人はともかくとして、ここで仰々しく声を上げている人達、自分達のやっている意味を本当に理解しているのか?軍服を着ている老人達を否定する気はない。むしろ靖国神社に行く為に戦った世代だ。それが青春の全てであれば、正しいと思う、否定したくないという気持ちも十分に分かる。けれど明らかにそうで無い世代。今の国論の一部だけを受けて、もしくは「敢えて」一部だけを見て、声を上げていないか?国の為に戦った人々への意を純粋に込めて頭を下げ、声を上げているのならまだしも、自己を現わす為にその意を深く理解せずにここに来ているのだとしたら、危険だと言わざるを得ない。
 自己を主張するだけで終わるとしたら、この国は先の戦争から何も学んでいないことになるだろうと思うのだ。


「天皇陛下万歳」

プロフィール

Mr.Problem

Author:Mr.Problem
東京移住。
職業:雲のジュウザ
根本思想:世界人民大団結万歳(笑)
多少、あちこちに行ってましたが、。結婚してからはめっきり諸外国へ出ることが少なくなりました。せめて一年に一度くらいは海外には出たい。元パッカーの習性で旅行は旗持ちではなくほぼ個人旅行。基本的には今世界で起こっていることについて思うところや、今まで行った街の印象を徒然に書いていきます。
みなさんが世の中について考える何かの助けになれば。

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